卸店の商売

いけない×2。最近のエントリーはどうも個人的なことが多くなってしまって、このブログの主旨、食品のことを語ってなかった>< もちっと触れよう。


日本の食品業界は、メーカー・卸・小売店、そして最終消費者の4者で一般的には成立している。なぜ卸店が必要かというと、メーカー視点の理由としては二つある。


1)日本には大小様々な小売店の数が多過ぎて、メーカーの物流能力では商品をとてもじゃないが流通しきれない。100社のメーカーが100のスーパーにバラバラに届けるよりも、100社のメーカーが10社の卸店に届けてその10社が100メーカー分をまとめて100のスーパーに届けた方がよっぽど効率的。
2)与信管理のため。お金の流れで言うと、メーカーは卸店に商品を売り卸店から代金を頂戴する。卸店は小売に商品を売り小売から代金を回収する。よって、例え小売店が潰れたとしてもメーカーの代金回収先は卸店なので、リスクヘッジができている。


メーカーは卸店の協力抜きには商品を流通できないわけで、小売店に対して一緒に商品を売り込む大事なパートナーなのである。たとえば商談の場はメーカー、卸、小売店バイヤーの3人が一同に会す。メーカーは自社製品の特徴や市場知識など狭く深い知見を持っていて、卸店は1社でいくつものメーカーを担当しているわけだから他社と比較した売れ行きや食品全体の市場動向など広く浅い知見を持っている。その2者が協力してバイヤーへ商品を売り込むのだ。


ここに日本の食品業界の妙がある。もちろん良い商品だから売れるというのは大前提だが、プラス卸店の人達に売りたいと思ってもらえなければいけないということだ。そのために適切なマージンを確保したり、本来は最終消費者に対して使われるべき販促費を卸店向けに投入する。かくして日本の食品メーカーの営業利益率が1%〜7%ほどと低くなっている大きな一因でもある。ネスレユニリーバが10%を超えているのに対してだ。


欧米の流通は、卸店あるいは小売店のどちらか一方だけを介す場合が多いようだ。それがなぜ可能かというと小売店の企業数が淘汰されているから。ウォルマートカルフールなどがどーんと存在するから、卸店を使わなくてもメーカーが直接そこのセンターに納品すれば済むのである。また日本でも通販や直販という流通網が当たり前になってきているので、卸店という商売はどんどん難しくなっていくだろう。けど決して物を流すだけの業者と見ては駄目で、一緒に商品を売り込むパートナーであるという認識を持って取り組んでいきたい。卸店のおかげで、メーカーの目が直接行き届かない小さなところへも、またどんな地方へも商品が流通しているのだから・・・